惜しい

「火山のふもとで」松家仁之さん、読了。

 

読み始めから文章のリズムに魅了されて、もったいないと思いながらちびちびと読んで、最後が淋しい終わり方だったのが惜しい。でもこの静かな文章にはそれもありなのかな。

 

設計事務所で、図書館コンペ用にデザインをする。そのなかで「いちばん記憶に残っている図書館は?」と尋ねるシーンがあった。主人公が思い出すのは、木造で別館になっていた小学校の小さな図書館。

わたしが思い出したのは、小学校の小さな図書室。壁際には背の高い本棚が並ぶのだが、窓際には窓の高さまでの本棚があって、ひんやりした石の天板にお行儀悪く登って、窓枠に腰掛けて柱に背をもたせて本を読むのが好きだった。ある日同級生に、先生に言いつける、と騒がれたのでやめてしまったが。これも今思うと惜しい。

 

 

昨年はクロアチアを旅して、古い城砦跡の海に面した窓にやっぱり登って座り込んで、半日本を読んでいたのだった。懲りてない。↓この窓。

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