去年、今年
去年のベストを発表し忘れてました。
ってか、Sarah's keyです。意外でもなんでもなくてごめんなさい。
今年はもっと本読みたいなー。
惜しい
「火山のふもとで」松家仁之さん、読了。
読み始めから文章のリズムに魅了されて、もったいないと思いながらちびちびと読んで、最後が淋しい終わり方だったのが惜しい。でもこの静かな文章にはそれもありなのかな。
設計事務所で、図書館コンペ用にデザインをする。そのなかで「いちばん記憶に残っている図書館は?」と尋ねるシーンがあった。主人公が思い出すのは、木造で別館になっていた小学校の小さな図書館。
わたしが思い出したのは、小学校の小さな図書室。壁際には背の高い本棚が並ぶのだが、窓際には窓の高さまでの本棚があって、ひんやりした石の天板にお行儀悪く登って、窓枠に腰掛けて柱に背をもたせて本を読むのが好きだった。ある日同級生に、先生に言いつける、と騒がれたのでやめてしまったが。これも今思うと惜しい。
昨年はクロアチアを旅して、古い城砦跡の海に面した窓にやっぱり登って座り込んで、半日本を読んでいたのだった。懲りてない。↓この窓。
☆
Sarah's key , Tatiana de Rosnay
大戦中にパリに住んでいたユダヤ人の少女、大規模なround upで連れて行かれる際に、小さな弟を戸棚の中に隠して鍵を掛けていく。すぐに帰ってきて出してあげるつもりだった。ここにいれば安全だと思った。
少女の話と、現代のジャーナリストの話が交錯して進むのだが、そのジャーナリストと同じく、わたしの胸も少女のことでいっぱいとなり、締め付けられる。その苦しみと悲しみを、忘れないと伝えたいと願う彼女。
力のある物語を、誰もいない、閉店したカフェのオープンスペースで読んでいた。半地下の天窓から降り注ぐ光と雨。彼女はいつかこの全てを思い出すだろう、そんな文章を読みながら、わたしもいつかこの物語をここで読んだことを思い出すだろう、と思った。湿った空気と、淡い光と、ほろ苦いコーヒーの味と、この胸の痛み。
だめ人間
元気なつもりだったけど、引き続き八本脚の蝶を引き摺っていたようで、塞ぎ込んで仕事に打ち込んで、一週間で激痩せしたわたしです。疲れきって、なんでもないのにほろほろと涙目になってました。(自分が悪いのだが。)
今日はさすがにあかんなー、と思って、一日家でぐーたらしてました。あーダメ人間。